はじめに
この記事は、tadashi-aikawaさん主催 Obsidian Advent Calendar 2025 の 16日目の記事になります。

現在 私はObsidianの運用で「タグとMOCを組み合わせる」というアイデアをテストしており、そのコンセプトを記事にしてみました。
Obsidianをはじめ、いくつかのノートアプリには「ノート間をつなぐリンク」「横断検索が可能なタグ」という機能があります。
まっさらなノートに思いつくままに書き連ねる行為は、現実のノートもデジタルのノートも変わりありませんが、ノートとノートを繋げる、あるいは関連させる仕組みはデジタルのほうが容易です。
そこでノート毎にタグやMOCを関連付けることで「短期的には面倒が増える」けど「長期的にはメリットが勝る(はず)」な作りを検討しました。
本記事の結論は、「タグは検索とノート概要把握のために、MOCは回遊のために使い分け、その接点として“タグノート”を置く」という運用です。
「タグはつけてるけど活用できてない気がする」「MOCをどのように作ればいいのか分からない」という方へ、参考になれば幸いです。
タグとは? MOCとは?
タグとはなにか?

「タグ」とは元々「荷札」や「ふせん」のように目印や標識となる情報です。
現実でも荷物に対して「なまもの」「われもの注意」「天地無用」といった荷札やシールを1つまたは複数つけることがあります。
このようにモノに対し単一から複数の要素をつけることができ、また極力単語を扱うので、パッと見でタグを識別して「モノの概要を知る」ことができます。
ノートのタグの場合は「瞬時にノートの概要を知る」ことができるでしょう。
またデジタルツールにおけるタグは、タグをキーワードに大量のノートから横断的に検索・抽出できることも最大の利点といえます。

MOC(Map of Contents)とはなにか?
MOCとは、特定のテーマや関係性によってまとめられた情報やノートのリンク集のようなものです。
一般的なリンク集との違いは、ノートとMOCの関係が一対一ではなく一対多でも良く、目的に沿うのであれば複数のMOCからリンクすることも許容されます。
散在するノートがMOCノートに集約することでテーマごとの全体像が把握しやすくなり、またリンクを通じてノート同士の関係性が可視化されます。

MOC単一で利用する場合は、タグと違って「Obsidianプラグインを作成する場合の注意点」など、具体的なテーマに沿った複数のノートをリンクしてまとめた「索引ノート」「一覧ノート」となるでしょう。
そしてこれらのMOCノートも増えてくると、それをまとめた上位概念のMOCが生まれるかもしれません。
上記の例だと「Obsidianプラグインに関するMOC集」、あるいはもっとまとめて「Obsidianに関するMOC集」となるかも。
具体的だったテーマを主たる要素に集約して、1つの単語に割り切れます。
そうなると「#Obsidian」タグで検索した結果とよく似た一覧になるでしょう。
しかしMOCならその上位・下位のMOCを見渡せるので、自分がどういった意図・文脈でそこに配置しているのか理解しやすいです。
またMOCは、下位のMOCから上位のMOCへとツリー構造を形作れば、自分なりに分類された索引となります。
具体的なキーワードとなるタグが思い出せない、思いつかない場合に、上から辿ってお目当てのノートや概念への道案内をかってくれることも。

タグとMOCの比較
タグとMOCの項目が一致する場合もありそうですが、仕組み的には両者に違いがあります。
ChatGPTくんに相談して比較してもらいました。
| 機能 | タグ | MOC(Map of Contents) |
|---|---|---|
| 検索性 | ◎(クエリによる自動抽出が得意) | △(主に手動) |
| 文脈性 | △(単語の一覧) | ◎(文脈に応じた構造的リスト) |
| 柔軟性 | ◎(多義性・重複を許容) | ◯(構造設計が必要) |
| 拡張可能性 | ◎(大規模知識にも対応) | ◯(整理に手間がかかる) |
要するに、タグは「機械に探させるための入口」、MOCは「人間が辿るための地図」 と考えると分かりやすいです。
タグと一致するレベルの上位概念MOCでは、MOCの優位点である「文脈性」に欠けてしまいますが、その項目に関連するノートが一覧されているなら、タグを都度検索・抽出をかける手間が無くなりそうです。
タグノート(MOC)を作る
「検索性」に優れたタグと、索引ツリー構造から「文脈性」を辿れるMOCを組み合わせると、「1タグ=1見出しだけのMOC」となり、タグ名と一致した「タグMOCノート」「タグノート」になります。
同じタグを持つノートが3つ以上あれば、もうタグノートを作ったほうがよいでしょう。
最上位概念MOC
┗ 上位概念MOC
┗ 下位概念MOC
┗ 具体的なテーマMOC(必要であれば)
┗(MOCとリンクした個々のノート)
例)
PC関連MOC 【#PC】
┗ 使用ツール・アプリMOC 【#使用ツール】
┗ Obsidian MOC 【#Obsidian】
┗ Obsidianプラグイン作成の注意点 MOC 【#Plug-in・#ノウハウ】
タグノートの基本
- タグノートの名称をタグと一致させる。
- 必要なら先頭に目印の絵文字🏷️や、後ろに「(MOC)」とつけるなど。
- 私は「#Obsidian」なら「Obsidian(MOC)」としています。
- タグノートのプロパティに「Aliases」を追加し、そこにタグを記載。
- タグに上位概念があるのなら、上位タグノートへのリンクを付加。
- 同義語などタグノート自体にタグをいくつかつけてもいい。
- Wikipediaの項目のように、タグに関して概要や一言メモを添えたり。
肝心な関連ノートまたはタグを含むノートを一覧させる方法について、「手動」「Bases利用」「Dataview利用」の3パターンが考えられます。
方法1. 手動でリンクさせる場合
「MOC一つ一つを、自分で手入れしたい」と労苦を厭わない方向け。
- MOCなので、そのタグに関連したノートへのリンクを記載。
- タグの検索結果(query)を埋め込んでおけば、タグを記載した関連ノートも把握できる。
### 関連ノート
- [[ノート名]]
- [[ノート名]]
- [[ノート名]]
- ...
### タグ検索結果
```query
タグ名 OR 同義語タグ名など
```
方法2. Basesでリンクさせる場合
「本体機能のみでなるべく自動化したい」方向け。
- タグノートへのリンクを含むbase構文を埋め込む。自動抽出される。
- タグを持つノートを検索するbase構文を埋め込む。自動抽出される。
### 関連ノート
```base
views:
- type: table
name: Table
filters:
and:
- file.hasLink("タグノート名")
```
### 関連タグ
```base
filters:
and:
- file.hasTag("#タグ")
views:
- type: table
name: Table
```
方法3. Dataviewプラグインでリンクさせる場合
「プラグイン利用問題ないし、慣れてる」方向け。
- タグノートへのリンクまたはタグを持つノートを自動抽出する。
```dataview
list
from [[タグノート名]] OR #タグ名
sort file.ctime desc
```
以下は私が実際に運用しているMOCで、Dataviewを利用しています。

起点となるMOCを作る
私は最上位の概念MOCをまとめた「ALL-MOC」ノートを作っています。
これはMOCというより索引、ただのMOCのリンク集とも言えます。
ここを起点に、各MOCを辿る流れにすれば、迷うことはありません。
あるいは「ホームページ」など、Obsidianを利用するにあたって起点となる場所に配置するのもありかと思います。
ここまでで、具体的なテーマに沿ったMOCと、単語単位に昇華されたタグノート(MOC)は準備できました。
次にMOC以外の、個々のノートに手を入れます。
ノートに運用ルールを追加する
ここではタグとMOCを利用することになるので、個々のノート運用にルールを追加します。

必ずMOCへノートをリンク
- ノートを作成したら最低1つのノートにリンク。複数でも可
- 個々のノート間でリンクをしてもよいが、必ずどこかでMOCへリンク
- リンク先のMOCは、特定のテーマがあるMOCでも、タグノート(MOC)でも構わない
- MOCノート自体も上位MOCへリンク
どこにもリンクしていない孤立ノートを作らないことがポイントです。
MOCへリンクさえしていれば、手動での運用でない限り、MOC側からも対象のノートが確認できるようになります。
ノートにタグを付加する
- ノートの内容からキーワードとなる要素でタグをつける
- タグノートへリンクする場合は、そのタグもつける
- タグは最低1つ、多くても5個程度
- 具体的なテーマに沿ったMOCノートも同様
- プロパティを非表示している場合、把握しやすいのでノート本文にタグを置く
ノートの内容を見返さなくても、ノートのタイトルとタグから大凡内容が把握できればノートの管理も楽になります。
もちろん、タグをキーワードに検索することも可能です。
また、つけたタグに対してタグノートがあれば、そこへリンクしていなくてもタグノート側からタグを通じて辿り着くことができます。
タグはデフォルトのままでも運用できますが、私はタグの見分けがつけやすいように自動的に着色される Colored Tags プラグインを利用しています。
タグの命名規則
趣旨と少し離れますが、私のタグの命名規則を記しておきます。
なお、まだ移行途中です。
- 日本語中心(サービス名・固有名詞は英語)
- 英語タグは単数形・先頭大文字(サービス名を除く)
- 複合語はハイフンで連結(例:Cities-Skylines)
- 業界共通略語は大文字(例:UX、UI、API)
- 階層タグ(例:#Obsidian/Script)は原則禁止
運用の問題点
ここまで長々と記してきましたが、そもそもタグやMOCの運用自体に、様々な問題を抱えています。どれぐらいかというと、独立して一つの長文記事ができてしまうほどに。
ここでは簡潔に列挙してみます。
タグの問題点
- タグは増え続ける。似たようなタグ、同義語のタグ、重要度の低いタグも乱立しやすい
- 上記の命名規則でも、日本語と英語の使い分けで悩む場合もある
- タグを見直すメンテナンスコストが重い
- そもそもタグを考えて付加する思考コストが重い
MOCの問題点
- リンク先としてのMOCを前提とすると、高頻度で個々のノートを作成した際にMOCも作るハメになる
- 具体的なテーマのあるMOCでも乱立する可能性
- MOCの階層構造について全体像をあらかじめ考えなければならない
- MOCの階層構造を深くすると形骸化、浅すぎると構造の破綻が起きやすい
- タグに対してタグノート(MOC)はどこまで作るのか問題
- MOCのメンテナンスはかなり面倒で、再構築となれば気が遠くなる
そもそもの問題
- Obsidianは全文検索も早いし、検索だけでエエやん
- 流行りのAIプラグイン導入して、AIに記事探してもらえばエエやん
- そもそも情報学的に分類は破綻するのだから、このタグとMOCの2軸で分類するのは余計に破綻が見えてるやん
それでも試したい人の性(さが)
「Obsidian上でのタグとMOCを連携させる」というアイデアを元に、私なりにタグとMOCの運用ルールを考え、ChatGPTくんと壁打ちもしました。
概ねアイデアと運用ルールは評価をもらえたのですが、それでもやはり上記をはじめ様々な問題点を指摘されています。
またこれ以前に個別に運用していたタグとMOCも、運用ルールをしっかり定めてなかったので、壊れかけています。
ルールを定めたので今回はイケるかと言うと、「わかりません」。
タグ運用をプラグインで補助
Tag Wrangler というプラグインはタグの管理を強化してくれるものです。
詳細は紹介記事に譲りますが、今回のアイデアを補強してくれます。
- タグ名の一括変更や統合を簡単に行える。メンテナンスが楽になる
- タグページという、タグノート(MOC)のベースになりうるノートを生成する機能がある
MOCはぼちぼち運用する
- 具体的なテーマのあるMOCより上位のMOCは、2~3階層に留める
- 階層が増えすぎると全体把握も難しくなります
- 作ったMOCより上位MOCが無ければ、暫時ALL-MOCに配置する
- 最初からMOCの階層を作り込むのは困難です
- ノートやMOCが増え、集約できそうになってから、でも構わないでしょう
- ノートのリンク先になる仮置きMOCも用意しておく
- 新しいMOCを思いつくまでの時間猶予となりえます
- とりあえずリンクしておくことで、思考コストを軽くします
- リンク先をデイリーノートにしておくのも一案でしょう
目指すは図書館や本屋の眺め
現実の図書館や本屋では、お目当ての本に辿り着くまで、いろいろな分野の本棚を横目に歩きます。
お目当ての本棚が分かっていて最短ルートで進むこともあれば、ぐるっと回り道をしながら特集コーナーや普段読まない分野の通路を通り過ぎることもあるでしょう。
その時、何かアンテナに引っかかって予想外の場所で立ち止まり、本を手に取ることもあります。
そのような体験を、Obsidianにも持ち込みたい。
階層MOCを作り、上から辿っていく過程は、予定外のMOCを眺めたり、MOCに並んだ古いノートを開くことにつながるかもしれません。
ノートを作り、ラベリングしてただしまい込むのではなく、何かの拍子で再び日の目を見る。
Obsidianを長く使うための試行錯誤を、これからも続けていきます。
*Top Image by Stable Diffusion


